永青文庫の春画展に行ってきた。

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JRの目白駅からバスで10分ほど揺られながら窓の外を眺めていると、
急な坂道を下った先にビルの群がちらりちらりと遠くに見える。

山手線に乗っている時は気付かなかったが、この街はかなりの高台の上にあるようだ。

バス停を降りて5分程度歩くと住宅街の中に木の茂った小道がある。
落ち葉を踏みしめて奥へ進むと白い建物が現れる。
細川家ゆかりの永青文庫だ。
もともとは仕事場として使われていた建物が今美術館となっているらしい。

前期の最終日の夕方4時ごろ、入場待ちの列で20分くらい並んでようやく中へ入ると
狭い館内に大勢の人がひしめいていた。

会場はまず4階へ上り、3階、2階と下って展示を見て回る。
1階には展示は無く、別棟に春画展のグッズや図録を扱うミュージアムショップがある。
(お土産を買うだけならチケットはいらない)。

展示室はどこも混んでいて、どこから見てもOKだというので
4階、3階をサラリと見て2階へ行き、また上の階へ戻って
さきほど見られなかった作品を見た。

春画のみの展覧会は永青文庫が日本初だが、
今年の夏、福岡でも浮世絵展の一室が春画でいっぱいだったことがある。

この展覧会を見てわたしは衝撃を受けた。
春画の入門本を持っていたものの、実際に見ると大きさや色の綺麗さに驚く。
それに本に載っているのはほんの一部で見たことが無い絵がたくさん並んでいたのだ。

大勢の人と生の春画を見るという体験は自意識過剰のわたしには辛く、
冷静に見ることなどできずに初めての春画鑑賞は終わった。


そして予習に予習を重ね、永青文庫である。

浮世絵展の一角に春画のための部屋が設けられていた福岡の展覧会とは違って、
最初から春画を見ようと集まった人たちというのは照れが無いのでよく喋るなぁというのが
展覧会を見ている時の印象だった。

たとえて言うなら温泉に来たら奥の方に混浴の温泉があったので、
せっかくだから入ってみようと入るのが福岡で
「今日は混浴の温泉に入りに行くぞ」と
目的意識をはっきりさせて温泉に浸かりに行くのが永青文庫の春画展だ。


会場内の何が違うのだろうと考えると、まず明るさが違う。
福岡の皓皓と照らされた広い展示室ではみな自分の表情を表に出さぬよう、
うつむくか目を合わせないようにするしかなかったが、
永青文庫は薄暗いのと人が多すぎるのであまりそういうことが気にならなかった。

たぶん、皆「日本初の春画展をみるぞ」と同じ目的で来ているせいもあるのだろう。

美大生だろうか、2人組や3~4人のグループで来ている若い人も多い。
春画は「濡れる」というイメージから転じて持っていると
火事よけのお守りになると思われていて、
月岡雪鼎の春画は特にそのご利益があるということで、
雪鼎の作品を持っているミカエルさんの美術館はもう4、5回火事を免れてるね!
と話している女の子たちがいた。

北斎の有名な海女と蛸の絵の前では書き入れを朗読する若い女の子2人組もいた。
蛸のセリフが面白いのでついつい読みあげてしまうのかもしれない。

女性の方が日本美術に詳しい男女のカップルは、
女性がくずし字を見て「昔も今も変わらないね」と男性に語りかけていた。


こんな風に何人かで絵を見ながらクスッと笑う光景と言うのも江戸時代にはあったんだろう。
それが展覧会で体験できているようで面白かった。


2階には豆判という名刺を一回り大きくしたような紙に刷られた春画があった。
組み合う二人の背景に空から降ってきたようなバラバラの向きの将棋の駒の作品が印象に残った。
(こちらは後期には展示されない。図録にはあり)。


1時間から1時間半くらい見るつもりで行くといいかもしれない。


永青文庫 春画展
2015年12月23日(水・祝)まで。

2016年の2月からは京都の細見美術館に巡回するそうです。
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by hon-j | 2015-11-09 01:26 | 展覧会レポート | Comments(0)