「 美のワンダーランド 十五人の京絵師」展

夏の九博である。
まだ昼前なのにすでにじりじりと暑い。

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昼からシンポジウムがあるので、話を聞く前に展覧会を見ておこうと
十時半ごろ会場に入る。


入った所で出品目録を取ると、いつもより作品数が少なそうなことが
分かる。大きなものが多いのだろう。



とてもシュールな世界が広がっている。

伊藤若冲の『石峰寺図』の前で、
わたしの周りの人も思わず立ち止まって「現代の絵かしら?」
と顔を見合わせている。

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まず目につくのは背景のブルーグレーとペンで描いたような白と黒の線。
丸い線も真っすぐな線も筆で描いたようには見えない。

画面の中央に、丸みを帯びた厚みのない中国風の門。

いくつかの小さな島が直線の橋でつながっていて、そこそこに羅漢がいる。
彼らの表情はなかなか読み取れないが、しぐさに個性を感じる。
寝ていたり立っていたり、勉強しているような者もいる。

なんだかこの世じゃなくてあの世っぽい絵なのだけれど、
丸く描かれている彼らはどことなくユーモラスで可愛らしくて怖くはない。
不思議な絵だ。





長沢芦雪の描く絵は動物が人間のようで、植物が動物のように活き活きとしている、
というのをシンポジウムで伺った。
犬や猿の表情やしぐさがどこか人くさいのだ。


『岩上猿・唐子遊図屏風』は
右隻に荒々しい岩の上にいる憎めない顔の猿の絵。

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左隻には中国風の髪型をした子どもが数匹の犬を連れ、
それをそう遠くはないところで見ている二人の兄弟のような子どもがいる。

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弟は犬が怖い。兄はそんな弟をかばいながら犬を見ているが、
どうも兄には怖い気持ちはなさそうなのだ。

人が飼っている犬を触りたい。
丸っこくて手足が短くて、ふわふわとして楽しそうにしている。
触ったらどんな感じなんだろう?

きりりとした涼しげな目だけど、好奇心がちらちらと窺えるような
お兄ちゃんを勝手に想像してしまう。


これもまたシンポジウムで得た知識だけれど、
屏風は普段、山折り谷折りの状態で見るもので、
まっすぐな平面で見るものではない。

折ると何が変わるかというと距離感が変わるので、緊密度がアップする
そうなのだ。岩の場合はごつごつとした立体感がアップする。

さっきの男の子と犬の距離も縮まれば、また違った感じを受けるのだろうか。
折った展示も見てみたいと思った。

・・・・・・と、書いてみたものの九博のぶろぐるぽさんから頂いた写真を見てみると、
折って展示してある。
わたしが見たのは平面だったのかそうでなかったのか、たかが数日前なのに記憶があやしい。

荒々しい線と、優しい線の対比は芦雪の技術の幅広さを感じさせるけど、
なぜ「猿」と「犬」が一つの対の屏風なんだろう。
裏のテーマは「犬猿の仲」だったりするのだろうか?



与謝蕪村の『山野行楽図屏風』

蕪村の俳句の「夏河を越すうれしさよ手に草履」を絵で表すとこうなるような
楽しげな屏風。

右隻に三人の男性、左隻は酔っぱらった彼らの手を引きながら
山道や川の浅瀬を歩く男性たち。

どうやらお客さんが一人増えて、四名の酔っぱらいを六名の若者
が引っ張っているようだ。

冷たい川に足を浸したい今日このごろ。



円山応挙『龍門図』

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三つで一セット(三幅一対)の珍しい龍門図なのだそうだ。

『龍門図』というのは鯉が滝をのぼって龍になるというのがテーマの絵なので、
たいてい鯉は荒々しく描かれる。

だけど、応挙の鯉は静かで涼しげである。
真ん中の鯉は滝をのぼる影しか見えない。

左右の鯉はうろこ一枚一枚が丁寧に描かれていて、
この本物っぽさがあるからこそ、
真ん中の鯉は魚影でもいいのかなと思える。

話を聞くと、真ん中の鯉だけ同じく応挙の『雲龍図屏風』の龍に使われている金泥が
使われているそうで、もう一度じっくりと見てみたくなった。



「美のワンダーランド 十五人の京絵師」
シンポジウム『京絵師の魅力にせまる』
(13:30~17:30まであった!予定より30分長くなったけど色々お話が聞けて楽しかった。
特に最後のディスカッションが聞いていて面白かった。
コーディネーターの方が自分が聞きたいような話を
パネリストの方に聞いて下さったので理解が深まった気がする)。



前期が2012年8月5日まで、後期が2012年8月7日から9月2日まで。
大幅な展示入れ替えがありますので行かれる際は公式サイトを見て行くのがよいかと思われます。



九州国立博物館の「ぶろぐるぽ」に参加しています。
この記事の写真はそちらからお借りしています。
(一枚目のみhon-jが撮ったものです)
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