『10のとびら』絵から広がる世界

久留米の石橋美術館の「10のとびら 絵から広がる世界」石橋美術館コレクション展に行ってきました。


2011年3月13日まで開催中。

10の部屋に展示された約130点の石橋コレクションを、テーマ別に見ていくという面白い展示です。

「写実」と「写実的に描くとは」の部屋が隣り合っていて、ああこんなに違うんだな~と絵を見て意味を実感できました。


前田青邨の『風神雷神』の漫画みたいな顔に驚き、
坂本繁二郎の色使いにキュンときたであります。

以下は会場にある一つの絵の感想。

***

私は青木繁の《わだつみのいろこの宮》を見るたびになんだかイラッとするのだけど、
なんでだろうと絵の前で考えてみた。

兄の海幸彦から借りた釣針を失くした山幸彦が、釣針を探して海底の宮殿にたどり着き、
豊玉毘売(トヨタマヒメ)と侍女に出会う場面。

木の上に座る彼と、そこへ壺を差し出す彼女。

視線が合って恋に落ちた瞬間。


この絵は180センチと縦長なので、自分の目線よりも数10センチ上に山幸彦がいる。

豊玉毘売は目を見開き、上目づかいで山幸彦を見つめている。

頬はピンク。透けるような衣の色も珊瑚のようなピンク。


全身からあふれる恋の始まりのドキドキ感。

言葉は発しなくても見ている人には分かる。

好きになってしまったのね、と。


じゃあ、山幸彦は頬を染めているのかというとそうでもない。

視線こそ彼女を見つめているといえ、見下ろしているので伏し目がちで、眉は「何だこいつ?」とでも
言いたげな形をしている。

これが私にはクールで偉そうな青年に見えてならないのだ。

何、この男女の温度差!

これが私のイライラの原因だ。

平等に見つめ合う、もしくは、男の人がハッとした表情を浮かべたら良いのに、と心の奥で思っている
からそう見えるのだろう。

青木さんはきっと女の人に惚れられたいんだわ!まったく!と思ったが、
自分も男の人に見惚れられたい願望があることに気づいてしまい、彼を責めきれない。


実際、展示ではちょうどライトが反射し、高い位置にある山幸彦の顔はあまりよく見えなかったので、
『読む石橋美術館』という本を見ながらこれを書いているのだが、
見つめ続けていると、山幸彦がポっと頬を染めて口が開いていたら、かなりしまりが無いなぁと思えてきた。

構図上仕方ないよと青木さんは言うかもしれないが、私はやはり男性優位な絵に見えてしまうのだけど、
前よりは好きになった気がする。

3月25からは石橋美術館で青木繁の大回顧展があるそうなので、こちらも見てみたいかも。
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