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「津村記久子さんの対談に行ってみた」

お仕事プラス恋愛の漫画が好きである。

ひうらさとるさんの『ホタルノヒカリ』。槇村さとるさんの『Real clothes』。
磯谷友紀さんの『本屋の森のあかり』。鴨居まさねさんの漫画など。

ドラマチックに話が展開するのもいいけど、小さい会社でこつこつ働く話も好きである。

自分の知らない世界が広がるようで、楽しいのだ。
漫画を読む楽しみ全般に言えることかもしれないけども。


2月12日、博多駅の交通センターにある、紀伊國屋書店福岡本店で行われた、
カルチエ福大
「『生きづらさ』に立ち向かうために~小説家と教育学者の立場から~」に行ってみた。

メインは芥川賞作家の津村記久子さんと福大の教育・臨床心理学科講師の植上一希さんの対談。


始めに福大の方による二人の紹介と、会場のお客さんへの質問(来ようと思った理由など)、

六作品の解説(『君は永遠にそいつらより若い』『ミュージック・ブレス・ユー!!』『アレグリアとは仕事はできない』『ポトスライムの舟』「十二月の窓辺」(ポトスライムの舟に収録)『八番筋カウンシル』)、
その後に対談、休憩を挟んで質疑応答という流れだった。


津村記久子さんの本もお仕事プラス恋愛物のような感じで手に取った。
装丁は女性が好きそうなデザインと優しい色合いだったからだ。
『カソウスキの行方』はそういう風にも読めたので、次の作品も借りた。その次もその次も。

・・・・・・恥ずかしながら、私は津村さんの対談に行こうというのに著作を一冊も持っていないのである。

小説は図書館で借りることが多い。
なので、私の読んだ本のブログのカテゴリは「買わない人の読む本」という。

今日、紀伊國屋書店福岡本店を訪れたのは、作家さんを生で見る機会なんてさらさらないし、
無料と言う言葉に弱いので来てしまったという、ただのミーハーゆえなのだ。


そういうわけで、会場で一緒になった女性に「生きづらさを感じてますか?」と聞かれて、
私はうーんとうなってしまった。
無論、感じてないわけではないのだけど、人に言うのは気が引けるのだ。

そもそも「生きづらさ」とは何か。

津村さんの作品には抑圧された人というのが多く出てくる、と解説にあった。
会社や学校でうまく立ち回れなくて、それでもそこから逃げ出すこともできないので、
傷付きながらも生きている。

私が作品を次々と読んだのは、自分に近いことが書いてあると思ったからだ。
給料が高いわけでもなく、将来に展望が開けているわけでもない。
主人公に大逆転のハッピーエンドが用意されているわけでもない。

正直に言うと、ハッピーエンドを期待しながら読んでしまうのだが、
津村さんの作品は、大きく跳ばずに一歩踏み出す感じで終わる。

対談ではそれについて、
「平均くらいの身の処し方を書いている。ちょっとはずるくなっていい。悪いやつになっていい」
「抑圧されている状況にいなければならない自分は悪くないということを言いたい」と語っていた。

小説にしか書けない強みは「一般論ではなく、倫理を少し外したことが書けること」だそうだ。
自分はやらないけど、少しの思い切りがあると出来そうなことを主人公たちにやらせている、
というようなこともおっしゃっていて、たしかになぁと思った。



対談が終わり、会場で本を買った人は自分の名前と津村さんのサインを書いてもらえたのだが、
書いてもらっている間、何を言って良いか分からず、結局何も言えないまま私の番は過ぎてしまった。

津村さんが可愛い名前ですね、と言ってくれたので、いえいえ滅相もない!とか音楽のことは分からないんですが、この本(『ミュージック・ブレス・ユー!!』)好きです、とか言ったらよかったのに!


失敗した発言を自分は覚えてるけど、言われた人は一週間くらいで忘れてるから、
気にしないでいろんな人に話しかけたらいいですよ、と質疑応答の時間ににおっしゃっていたので、
私も書いて忘れることにします。



カルチエ福大の二月のサイトへ。


追伸(見てないかもですが)
福大の方へ。先日はブログにご案内頂きありがとうございます。おかげで楽しい時間を過ごせました。